独特のシワシワ肌と、スベスベした手触りが印象的な「ドンスコイ（ドン・スフィンクス）」。見た目のインパクトは強烈ですが、性格はとても人懐っこく、家族にベッタリな甘えん坊タイプとして知られています。
日本ではまだ頭数が少なく、ペットショップでもほとんど見かけない「レア猫種」のひとつです。その分、出会えたときの特別感はかなりのもの。今回は、これからドンスコイを迎えたい人や、無毛猫に興味がある人に向けて、性格・特徴・お世話のポイントをまとめてご紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産国 | ロシア（ロストフ・ナ・ドヌ周辺） |
| 毛の長さ | 無毛〜超短毛（ラバーボールド／フロックド／ベロア／ブラッシュなど） |
| カラー | 全カラー・パターンが認められ、毛色バリエーションは非常に豊富 |
| 模様パターン | ソリッド／タビー／トーティなど多様（皮膚の色ムラや斑も含む） |
| 体重 | オス・メスともおおよそ2.5〜4.0kg が目安 |
| 性格 | 好奇心旺盛で活発、人懐っこく甘えん坊。人への依存度が高い子も多い |
| 寿命（一般例） | 約10〜13年（環境や体質によって差が出る） |
| 公認団体 | TICA・FIFe・WCF などで公認 |
| 入手難易度（日本） | ★4（かなり困難：一部ブリーダー経由が中心で、ペットショップ流通はごく少数） |
💡特徴
ドンスコイは、中型で筋肉質な体つきと、しわの多い無毛〜超短毛の肌が特徴的な猫種です。頭はくさび型で、やや平らな額と高い頬骨、大きく立った耳がシャープな印象を与えます。目はアーモンド形〜ややオーバルで、表情がとても豊か。全身の皮膚にはしわが入り、触るとゴムのようにあたたかく、ビロードのような独特の手触りをしています。まったく毛がない「ラバーボールド」タイプから、うっすら産毛の「フロックド」「ベロア」、一部にブラシのような毛が残る「ブラッシュ」までタイプが分かれており、同じドンスコイでも見た目の印象にかなり個体差があるのもポイントです。
| 区分 | 難易度 | 主な入手先 |
|---|---|---|
| ペットショップ | ごく一部の専門店・輸入対応店で単発的に取り扱い | |
| ブリーダー | 無毛猫・スフィンクス系を扱う一部ブリーダー・キャッテリー | |
| 里親募集 | 純血としての出現はほぼなし。ミックス・見た目が似た猫が中心 |
💬 解説
日本でドンスコイと出会うのは、かなりハードルが高めです。大手チェーン店でもほとんど見かけず、あるとすれば海外ブリーダーと提携している店舗や、珍しい猫種を扱うショップに「1頭だけ入荷」といったイメージになります。実際には、無毛猫やスフィンクス系を扱う一部ブリーダー・キャッテリーが主な入手先となり、募集が出ていない時期も多いため、長期的な情報チェックや事前相談が前提になりやすいです。
里親・保護猫ルートで純血ドンスコイに出会える可能性はかなり低く、事情があって手放された子がごく稀に登場するかどうかと考えるのが現実的です。一方で、毛の薄いミックスや、見た目が似た「無毛系ミックス」が里親募集されるケースはあり得るので、「見た目の雰囲気重視」であればそうした選択肢も視野に入ります。
💡 豆知識
無毛猫＝スフィンクス、と思われがちですが、ドンスコイはスフィンクスとは別の遺伝子型による無毛猫で、生まれたときに毛があっても成長に伴って抜けていくタイプもいます。
- 好奇心旺盛で、家の中を探検したがるアクティブ派
- とても人懐っこく、家族へのベッタリ度が高い
- 他のペットや来客にもフレンドリーになりやすい
- 一人の時間が長いと寂しさからイタズラに走ることも
- とても人懐っこく、家族のそばに常にいたがる「ベッタリ系」。膝や腕の中でくつろぎながらゴロゴロ言い続ける姿に、「犬のような忠誠心」と表現する飼い主も。
- 好奇心旺盛で遊ぶのが大好き。おもちゃや知育トイはもちろん、かくれんぼや追いかけっこなど、人と一緒の遊びを楽しめる子が多い。来客や他のペットとも上手に付き合えたという声も多い。
- しわの多い独特の見た目と、つるつる・すべすべの触り心地がクセになる。「SNSに写真を載せると『この猫なに!?』『エイリアンみたいで可愛い』と話題になる」といった“看板猫”ポジションになっているケースも。
- 人への依存度が高く、長時間の留守番が続くとストレスからイタズラや大きな鳴き声につながることがある。在宅時間が少ないライフスタイルだと、申し訳なさを感じる飼い主も。
- 被毛がほぼない分、皮膚トラブルには要注意。汗や皮脂がそのまま残りやすく、定期的なシャンプーや蒸しタオル拭きが必要で、「普通の猫よりお手入れ頻度は多め」と感じる声も。
- 日本では非常にマイナーな猫種のため、情報が少なく、近くにドンスコイ仲間がほとんどいないという声も。無毛猫の飼育・皮膚ケアに詳しい獣医師を探す必要があり、その点を負担に感じるケースもある。
- 触ると「あれ、あったかゴム？」
初めて触る人は、その質感にびっくり。「猫ってもっとふわふわじゃないの!?」と言われるたびに、「これがドンスコイの魅力なんだよ」と熱弁するのが定番。 - 日向ぼっこは“充電タイム”
窓辺の陽だまりを見つけると、すかさず長〜く伸びて日光浴。あまりにも気持ちよさそうで、人間のほうが「焼き過ぎないでね」と心配になる。 - 服の枚数、いつの間にか猫＞人間
寒がりのため、猫用パーカーやロンTがどんどん増える。気づけばクローゼットの一角が完全に「ドンスコイクローゼット」になっているお家も。 - 黒い点々…と思ったら足跡だった
冬場、ストーブ前のホットカーペットに謎の小さな跡が。よく見たら、ドンスコイが肉球だけで歩いた“足跡アート”で、思わず写真を撮りたくなる。 - ソファは“密着ソリューション”の場所
人間がソファに座った瞬間、すっと横に来てピタッと体をくっつける。「寒いからくっついてるのか、甘えたいからなのか」議論になるが、どちらにせよ嬉しい。 - 来客へのインパクト、100％超え
初めて見る人はほぼ全員「えっ、この子猫？犬？」「…猫!?」と二度見。そこから無毛猫トークが始まり、気づけば30分くらい説明している飼い主も。 - 毛は少ないのに“お手入れ時間”は長め
ブラッシングはほぼ不要なのに、タオル拭きや保湿ケア、洋服の着替えなどで意外と時間がかかる。「毛玉はないけど、ケアは別ベクトルで手がかかる」あるある。 - エアコン設定温度が猫基準になる
冬場は「ちょっと暑いかも」と思いつつも、ドンスコイのことを考えて設定温度を上げがち。そのうち家族みんなが薄着＋猫は洋服で過ごすという不思議な光景に。 - 夜のベッドは“湯たんぽ兼アラーム”
布団に入ると、ほどなくしてドンスコイが潜り込んできて、ぴったり密着。朝方になると体温とモゾモゾ動きで自然な目覚ましになってくれる。 - 写真加工で“肌の質感”にこだわり出す
スマホで撮った写真を見返すと、「もっとしわの陰影を出したい」「このツヤ感を再現したい」と編集にハマる。いつの間にか人間の記念写真より枚数が多くなる。
ドンスコイは、1980年代後半のロシアで偶然見つかった、比較的新しい無毛猫種です。きっかけは、ロストフ・ナ・ドヌという町で、学校教師のエレナ・コバレーバさんが、子どもたちにボール代わりにされていた毛のない子猫を保護したことだと言われています。その子猫「バーバラ」は成長しても被毛が生えず、やがて産んだ子どもたちも、同じように無毛、あるいは一時的に毛が生えても後から抜けてしまうという特徴を示しました。
当初は「毛のない猫は病気ではないか」と誤解され、好奇の目で見られることも多かったものの、ブリーダーのイリーナ・ネミーキナ氏がこの猫たちを引き取り、計画的な繁殖と観察を進めたことで、これは病気ではなく、新しい遺伝的特徴による無毛であることがわかってきました。ドンスコイの無毛は、ほかの無毛猫であるスフィンクスとは異なる優性遺伝とされ、生まれたときに毛があっても成長とともに抜けるタイプがいるのも特徴です。
原産地を流れる「ドン川」にちなんで「ドン・スフィンクス（Don Sphynx）」と名付けられたこの猫は、その後ヨーロッパの猫登録団体FIFeに1997年に登録され、続いて2005年にはTICAでも「Donskoy」として公認されました。ロシア国内を中心に愛好家の間で広まり、徐々にヨーロッパや北米にも広がっていきます。極端な寒冷地をルーツに持ちながらも、被毛がほとんどないため室内飼育が前提で、人との密着や室温管理など、環境に配慮した飼い方が求められる猫種として育てられてきました。
日本に紹介されたのはさらに後年で、現在でも頭数は多くありませんが、無毛猫や珍しい猫種を好む一部の飼い主やブリーダーの間で、静かな人気を集めています。一度その独特の外見と甘えん坊な性格を知ると、「もう普通のふわふわ猫には戻れない」と語るオーナーも少なくないと言われています。
環境づくり
- 一年を通して、室温はだいたい22〜26℃前後を目安に、冷やし過ぎ・暖め過ぎにならないようエアコンで調整する。
- 冬場はベッドやソファにブランケット・猫用ベッド・猫用服などを用意し、冷えから守る。夏は直射日光を避け、日向ぼっこの時間も様子を見ながら。
- 皮膚を傷つけないよう、家具やキャットタワーの角・出っ張りにはカバーを付けるなど、安全性にも気を配る。
食事
- 基本は総合栄養食のドライフードやウェットフードでOK。筋肉質で活動的な子が多いので、年齢・体型に合ったカロリー設計のフードを選ぶ。
- 皮膚や被毛（産毛）のコンディションを考え、オメガ3脂肪酸やビタミン類など皮膚ケアに配慮したフードやサプリメントを獣医師と相談しながら検討してもよい。
遊び
- 上下運動ができるキャットタワーや、かくれんぼできるトンネルなどを用意し、1日数回、短時間でもしっかり遊ぶ時間を作る。
- 知育トイやおやつを使ったノーズワークを取り入れると、頭と体の両方を使えるので、ストレス解消にもつながる。
先天的な病気やリスク、老後になりやすい病気等を以下に記載
| 病名 | 内容 |
|---|---|
| 皮膚炎・皮膚感染症 | 汗や皮脂が皮膚に残りやすく、乾燥・赤み・細菌・真菌による炎症が起こることがある。定期的なシャンプーや拭き取り、早めの受診が大切。 |
| 歯周病 | 口内ケア不足により、歯石や歯肉炎が進行しやすい。歯みがきやデンタルケア用おやつなどで予防を心がける。 |
| 心臓・呼吸器のトラブル（一般例） | 猫全体で見られる心筋症や呼吸器疾患は、ドンスコイでも起こりうる。定期健診で心音や呼吸音をチェックしてもらうと安心。 |
📊 平均寿命（一般例）：約10〜13年
💡 健康維持のためには、定期的な健康診断（年1回〜高齢期は年2回）、体重・食欲・皮膚の状態チェックを習慣にし、異変を感じたら早めに動物病院を受診することが大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 平均価格 | 目安として約35万〜45万円前後（日本ではそもそも流通数が少なく、為替や輸入状況で変動しやすい） |
| 価格差の要因 | 血統（チャンピオン血統かどうか）、被毛タイプ（完全無毛か産毛タイプか）、カラー・性別、繁殖地（国内繁殖か海外輸入か）、健康検査の有無など |
| 購入ルート | 無毛猫・スフィンクス系を扱うブリーダー／キャッテリーからの直接購入が中心。まれにペットショップ経由で紹介されるケースもあり |
💡 選び方のコツ
親猫の健康状態（ワクチン・寄生虫予防・遺伝性疾患のチェック）や性格、生活環境をできるだけ詳しく確認しましょう。ドンスコイは人への依存度が高い猫種なので、親猫や兄弟猫がどのような性格かを見ることで、将来のイメージがつかみやすくなります。また、無毛猫の飼育経験があるブリーダーか、皮膚ケアや室温管理について具体的なアドバイスをしてくれるかどうかも重要なポイントです。
ドンスコイと暮らす毎日は、とにかく「密着時間」が多めです。朝起きると布団の中でぴったりくっついて寝ていたり、ソファに座ればすぐ隣や膝の上にやってきて、あたたかい体温を分けてくれます。冬場は特に、家族みんなが「動きたくない…」と思ってしまうほどの、生きた湯たんぽぶりを発揮してくれるでしょう。
その一方で、遊びの時間もしっかり必要です。日中は家の中を探検したり、キャットタワーを駆け上がったり、おもちゃを追いかけたりと、意外と運動量は多め。人と一緒に遊ぶのが好きな子が多いので、1日数回の「本気遊びタイム」を作ってあげると、夜はぐっすり一緒に眠ってくれることが増えます。皮膚ケアや洋服の着替えなど、お世話の手間は普通の猫より少し多めですが、その分、猫とのコミュニケーションも自然と増えていく暮らしになります。
| 飼い主タイプ | 相性度 |
|---|---|
| 初心者 | |
| 共働き家庭 | |
| 子どもがいる家庭 | |
| 1人暮らし |
💬 コメント
しっかりと時間と手間をかけてあげられる人、猫とのスキンシップをたっぷり楽しみたい人に向いている猫種です。共働きや長時間不在が多い家庭の場合は、在宅時間中にどれだけ遊び・甘えの時間を確保できるかが重要なポイントになります。お子さんがいる家庭では、「やさしく触る」「洋服を無理に着せない」などルールを決めれば、良い遊び相手になってくれるでしょう。
| 猫種 | 性格 | 入手難易度 | 飼いやすさ |
|---|---|---|---|
| スフィンクス | 人懐っこく社交的、ややおしゃべりで活発 | 日本でもドンスコイよりは流通が多く、専門ブリーダーも比較的見つけやすい | 皮膚ケア・室温管理は必須だが、無毛猫としての情報は豊富で、慣れればお世話はしやすい |
| オリエンタル・ショートヘア | 好奇心旺盛・甘えん坊・とても活発で運動好き | 一部のブリーダー・専門店で取り扱いあり | 被毛がある分、温度管理はラクだが、運動量が多く遊ぶ時間をしっかり取れる人向け |
| ロシアンブルー | 穏やかで少しシャイ、家族には深く懐くタイプ | ペットショップ・ブリーダーともに比較的見つけやすい | 無毛猫ほどの特別なケアは不要で、室内飼いの定番猫種として飼いやすい |
ママちゃん、ドンスコイって、毛がほとんどないんだよね？ そんな子が家に来たら、ぼくのふわふわシルバータビーの立場、ちょっと薄くならない？ 「触り心地ランキング」負けたくないんだけど…。
たしかに手触りはぜんぜん違うけど、ドンスコイさんは「すべすべあったかタイプ」、しょうちゃんは「ふわふわもふもふタイプ」で、そもそもジャンルが別物かなあ。両方そろったら、気分で触り心地を選べる“最高の猫クッションセット”って感じで、どっちも主役だよ。
無毛ってことは、冬めちゃくちゃ寒がりなんだよね？ ぼくの専用ひざ掛けとか、ベッドの一番あったかい場所、取られたりしない？
ドンスコイさんはたしかに寒がりだから、洋服やブランケットは多めに用意してあげたいね。でも、しょうちゃんの定位置はちゃんとキープしたまま、「ここはドンスコイさん用」「ここはしょうちゃん用」って、ぬくぬくゾーンを増やしてあげればOKだよ。むしろ一緒にくっついて寝たら、お互いあったかくて幸せかも。
性格はどうなの？ ぼくもけっこう人間ストーカー気味だけど、ドンスコイってさらにベッタリって聞いたよ。パパとママの膝、いつも満席になっちゃわない？
ドンスコイさんは、人といるのが大好きな甘えん坊タイプが多いね。だから膝もソファも、取り合いになる日があるかもしれない。でも、そのぶんパパとママも「猫と遊ぶ時間」を意識的に増やすから、結果的にしょうちゃんがナデナデされる時間も増えるはずだよ。順番こで甘えられるように、ちゃんと時間割を考えなきゃね。
皮膚のお手入れが大変って聞いたけど、シャンプー嫌いなぼくからすると、ちょっと尊敬…いや、同情…？ ドンスコイさんって、ほんとにお風呂いっぱい入らなきゃいけないの？
毛がないぶん汗や皮脂がそのまま皮膚に残りやすいから、定期的なシャンプーや蒸しタオルでのケアは必要だね。でも、それはドンスコイさんの健康を守るための大事なお手入れ。しょうちゃんは“スーパーお風呂嫌い”だから回数は少なめだけど、その分ブラッシングや爪切りをがんばってもらおうかな。お互いの得意・不得意で分担していこう。
もし一緒に暮らしたら、夜のパトロールは二人でやる感じ？ 暗い廊下で、毛のないシルエットとシルバータビーが並んで歩いてたら…人間、ちょっとビビらないかな？
夜の廊下にシワシワのシルエットとシマシマしっぽが並んで歩いてたら、たしかにインパクトはあるね。でも、パパとママから見たら「最強タッグの見回り隊」で、とっても心強いよ。足元でゴソゴソしてたら危ないから、夜のパトロールはほどほどにしつつ、ふたりとも安全第一でお願いしたいな。
ドンスコイは、一見インパクトのある無毛の見た目だけど、中身はとても人懐っこくて甘えん坊な、家族大好きタイプの猫さんです。寒さや皮膚のケアなど、ほかの猫種とは少し違うお世話のポイントはあるものの、その分スキンシップの時間も増え、いっそう絆が深まりやすいとも言えます。日本ではまだ出会える機会が少ないレア猫種ですが、時間と手間をしっかりかけてあげられるおうちなら、毎日を一緒に過ごす相棒として、とても頼もしい存在になってくれるはずです。しょうちゃんのようなフレンドリーな先住猫がいれば、にぎやかで個性的な猫暮らしを楽しめる組み合わせになりそうですね。
