ラグドールは、その名の通り「ぬいぐるみ」を意味する名前を持つ、大型でおっとりした長毛猫です。ふわふわの毛並みと青い瞳、そして抱き上げると力を抜いて身を任せてくれるような性格から、初心者さんや子どもがいる家庭でも人気急上昇中の猫種。ここでは、日本で迎えるときに気になる性格・お手入れ・健康・価格まで、ラグドールと暮らすための基本をまとめてご紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産国 | アメリカ合衆国（カリフォルニア州で作出されたとされる） |
| 毛の長さ | 中長毛〜長毛のシルクのようなセミロングコート |
| カラー | シール・ブルー・レッド・クリームなどのポイントカラー |
| 模様パターン | カラーポイント、ミテッド、バイカラー、トーティ、リンクスポイントなど |
| 体重 | オス約5〜9kg／メス約4〜7kg が目安 |
| 性格 | 穏やかでおおらか、人懐っこく抱っこ好きな甘えん坊 |
| 寿命（一般例） | およそ12〜15年前後（体質・飼育環境により個体差あり） |
| 公認団体 | CFA・TICA・FIFe・GCCFで公認 |
| 入手難易度（日本） | ★2（人気種のためショップ・ブリーダーで比較的見つけやすいが、里親ルートは少なめ） |
💡特徴
世界的に人気のある大型の長毛種で、体長は約50cm、筋肉質でがっしりした体格をしています。被毛はふんわりとしたセミロングで触り心地がよく、首回りのラッフ（えりまき）とふさふさの尻尾がゴージャスな印象。毛色はシールやブルーなどのポイントカラーで、模様はカラーポイント・ミテッド・バイカラーなどバリエーション豊富です。瞳は美しいブルーで、抱っこされるのが好きな穏やかな性格から「抱っこ猫」「ぬいぐるみ猫」とも呼ばれます。
| 区分 | 難易度 | 主な入手先 |
|---|---|---|
| ペットショップ | 比較的やさしい | 都市部の大手ペットショップ／ショッピングモール内の専門店など |
| ブリーダー | やややさしい | ラグドール専門キャッテリー／子猫ブリーダー直販サイトなど |
| 里親募集 | やや難しい | 里親募集サイト／保護団体（ラグドール系・長毛ミックスとして募集されることが多い） |
💬 解説
ラグドールは日本でも知名度が高く、純血種の中では比較的お迎えしやすい猫種です。大手ペットショップや子猫販売サイトでは通年に近い形で子猫情報が掲載されており、価格帯は20万円前後〜40万円台まで幅広く見られます。
一方で、里親・保護猫ルートでは「ラグドール」「ラグドール風」「ポイント柄の長毛ミックス」といった形で募集されることがあるものの、雑種や日本猫に比べれば件数は少なめ。特に血統書付きの若い子猫は、掲載されるとすぐに決まってしまう傾向があります。
💡 豆知識
ラグドールはすべて「ポイントカラー（体の端が濃くなる模様）」が基本で、生まれたときはほぼ白く、成長とともに顔・耳・尻尾などに模様がはっきりしてきます。
- 穏やかでおおらか、怒りっぽさが少ない
- とても人懐っこく、抱っこやスキンシップが大好き
- 鳴き声が控えめで、のんびりマイペースに暮らすタイプ
- 大型なのに驚くほどおとなしく、「抱き上げると力を抜いて身を任せてくれる」「抱っこしたままテレビを見ても嫌がらない」といった“ぬいぐるみ感”が最高という声が多く聞かれます。
- 人懐っこく、家族のそばにいるのが好きで「いつも後ろをトコトコついてくる」「名前を呼ぶと来てくれる」など、犬のような一面があるという口コミが目立ちます。初めて猫を飼う家庭や子どもがいる家でも付き合いやすいと評判です。
- 鳴き声がとても静かで、「ピッ」「クルル」といった小さな声で話しかけてくる子が多く、「マンションでも飼いやすい」「夜中に大声で鳴かないので助かる」と静かさを評価する意見も多いです。
- 大型で運動量のわりに食欲旺盛な子も多く、「気を抜くとすぐ丸くなる」「ダイエットが大変」といった肥満に関する声が多め。太ると心臓や関節への負担も心配になります。
- 長毛で毛量も多いため、「ブラッシングをサボると脇やお腹に毛玉ができる」「換毛期は掃除が大変」と、グルーミングと掃除の手間を挙げる声も少なくありません。
- とても甘えん坊で人への依存度が高い子も多く、「長時間の留守番が続くと元気がなくなる」「一人暮らしで日中不在が多いと心配」というコメントも。できるだけ一緒に過ごす時間を確保したい猫種です。
- 抱っこした瞬間“ぬいぐるみ化”
抱き上げた途端、全身の力がふにゃっと抜けて完全リラックスモード。「もう降りようね」と言いながら、飼い主のほうが離れられなくなる魔性の抱き心地。 - ゴロゴロ音が子守歌
胸の上に乗られると、低く響くゴロゴロ音と振動が心地よすぎて、数分で人間側が寝落ち。気づけばラグドールを乗せたまま朝になっていることも。 - 歩くと必ず“ふわふわ尾行”
部屋を移動するたびに、後ろから静かにふわふわとついてくる影。振り返ると、青い目でじっと見上げていて「どこ行くの？」と聞かれている気分になる。 - 抱っこ＝家事ストップ合図
洗濯物をたたこうと座った瞬間、ひょいっと膝に乗ってくる。「今それどころじゃないよね？」と言わんばかりの顔でくつろがれると、家事は一時休止に。 - 写真がいつも“天使フィルター”
どの角度から撮ってもふわふわの毛とブルーの瞳が反則級。気づけばスマホのアルバムが、ほぼラグドールの写真で埋め尽くされている。 - 来客にも物怖じゼロ
インターホンが鳴ると、ドアの近くでお出迎え体勢。初対面の人の足元にそっと座り、「撫でてもいいよ」と言いたげな顔で場の空気を和ませる。 - おもちゃより“人の手”が好き
じゃらしにはそこそこ反応するのに、一番テンションが上がるのは人の手でのナデナデやボディタッチ。気づけばおもちゃ放置で、ひたすら撫で係に専念させられる。 - ソファの端はラグドール優先席
ソファに座ると、数分後には隣にドスンと着席。気づけば人間が端の10cmに追いやられ、ラグドールがど真ん中を堂々と占領している。 - トイレにもついてくる監視役
トイレや洗面所に行くと、ドアの前で静かに待機。出てくると「どこ行ってたの？」とでも言いたげに、足元にスリスリしてくる甘えっぷり。 - 予定を奪う“モフモフ罠”
出かける前にちょっと撫でるつもりが、ふわふわの毛とゴロゴロ音にハマって時間オーバー。「電車一本遅らせるか…」と毎回折れてしまう、恐るべき癒やし力。
ラグドールは、1960年代にアメリカ・カリフォルニア州で誕生した、比較的新しい猫種です。白い長毛のメス猫「ジョセフィーヌ」とされる猫に、ペルシャやバーマンなどの長毛種と思われる猫たちを計画的に交配し、穏やかな性格と大柄な体格、ポイントカラーの美しい被毛を持つ猫を目指して作出されました。抱き上げると体の力を抜いて身を任せるような様子から、英語で“ぬいぐるみ”を意味する「Ragdoll」という名前がつけられたといわれています。
作出当初、ラグドールは限られたブリーダーによって管理されており、その繁殖方針や権利関係をめぐってさまざまな議論がありました。その後、一部のブリーダーたちが独自の血統登録団体に登録を行うなどして、よりオープンで健康重視の繁殖体制へと移行。アメリカ国内の猫種登録団体に徐々に認められていき、現在ではCFA・TICA・FIFe・GCCFなど主要団体で公認される世界的な人気猫種になりました。
日本には1980〜90年代ごろから少しずつ紹介され、2000年代以降はペットショップやブリーダーサイト、猫カフェなどでも見かける機会が増えています。大型でゴージャスな見た目に反して、穏やかで人懐っこく、抱っこが好きというギャップが受け、「初心者でも飼いやすい長毛種」として広く知られるようになりました。一方で、肥大型心筋症などの遺伝性疾患や肥満への注意が必要とされ、近年では健康検査を取り入れたブリーディングが世界的な共通テーマとなっています。
環境づくり
- 大型猫なので、十分な床スペースと大きめのトイレ・ベッド・ケージを用意する
- 高さよりも「安定感」を重視したキャットタワーやステップを選び、転倒防止対策をする
- 暑さが苦手な長毛種なので、夏場のエアコンや風通しを意識し、快適な室温を保つ
食事
- 大型でも太りすぎないよう、体格と運動量に合わせたカロリー設計のフードを選ぶ
- 尿路結石や腎臓への負担を減らすため、水分をしっかりとれるウェットフード併用や給水器の活用もおすすめ
遊び
- 激しい運動より、じゃらしやボールでマイペースに遊べる時間を毎日少しずつとる
- 知育おもちゃやフードボールを使って、適度な運動と「考える遊び」でストレス発散と肥満予防を両立させる
先天的な病気やリスク、老後になりやすい病気等を以下に記載
| 病名 | 内容 |
|---|---|
| 肥大型心筋症（HCM） | 心臓の筋肉が厚くなり、心機能に負担がかかる遺伝性疾患。ラグドールで注意喚起されている代表的な心臓病で、若いうちからの定期的な心エコー検査が推奨される。 |
| 多発性嚢胞腎（PKD） | 腎臓に多数の嚢胞ができる遺伝性疾患。進行すると腎機能低下につながることがあり、遺伝子検査や親猫のエコー検査を行うブリーダーを選ぶことが大切。 |
| 肥満・関節トラブル | 大型で運動量が控えめなため太りやすく、肥満から関節炎や糖尿病、心臓への負担増につながることも。段差や滑りやすい床にも注意したい。 |
📊 平均寿命（一般例）：およそ12〜15年前後
💡 日頃から適正体重の維持、年1回以上の健康診断、シニア期には心臓や腎臓の精密検査を取り入れてあげることで、健康寿命を伸ばしやすくなります（あくまで一般例で、個体差があります）。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 平均価格 | おおよそ20〜35万円前後（全体のレンジは15〜40万円程度） |
| 価格差の要因 | 血統（チャンピオンラインかどうか）、カラー・模様（人気のバイカラーなど）、顔立ち、性別、月齢、ペットタイプかショー・ブリードタイプかなど |
| 購入ルート | ペットショップ／ブリーダー直販（キャッテリー）／まれに里親募集サイトでの保護個体 |
💡 選び方のコツ
見た目だけでなく、親猫の健康検査（心臓・腎臓・遺伝性疾患）内容や、育てられている環境、親猫・兄弟の性格も確認しましょう。人見知り具合や抱っこへの反応なども、ブリーダーさんに実際に触れさせてもらうとイメージしやすくなります。
リビングでソファに座ると、ふんわりとした足音もなくラグドールが隣にやってきて、ドスンとくっついて座ります。テレビを見ているときも、スマホをいじっているときも、気づけばいつも視界のどこかにラグドールのふわふわの姿。そっと撫でると、静かにゴロゴロと喉を鳴らして、まるで「今日も一日おつかれさま」と言ってくれているようです。
夜は人のベッドにやってきて、枕の横や足元にふわっと横たわります。抱き上げると体の力を抜いて身を任せてくれるので、まるで大きなぬいぐるみを抱いて寝ているような安心感。朝、目を覚ますと、青い瞳でじっとこちらを見つめて「そろそろ朝ごはん？」と小さく鳴く――そんな穏やかで密度の濃い日常が、ラグドールとの暮らしです。
| 飼い主タイプ | 相性度 |
|---|---|
| 初心者 | |
| 共働き家庭 | |
| 子どもがいる家庭 | |
| 1人暮らし |
💬 コメント
性格が穏やかで攻撃性が低く、鳴き声も静かなため、猫初心者さんや子どもがいる家庭とも相性が良い猫種です。ただし甘えん坊で人への依存度が高い子も多いので、共働きや一人暮らしの場合は「帰宅後や休日にたっぷり構ってあげられるか」をしっかり考えてからお迎えすると安心です。
※比較表にはラグドールのデータは加えず、ラグドール以外の3品種で表を作成
| 猫種 | 性格 | 入手難易度 | 飼いやすさ |
|---|---|---|---|
| ラガマフィン | ラグドールよりさらに“ぬいぐるみ感”強めの抱っこ好き。穏やかで人懐っこいが、かなり甘えん坊な子も多い。 | 長毛＆大型でお手入れ・体重管理の手間はかかるが、性格面はとても扱いやすい。 | |
| メインクーン | 穏やかでフレンドリー、「ジェントル・ジャイアント」と呼ばれる大型長毛種。やや活動的で好奇心も旺盛。 | 体格がかなり大きくスペースとコストはかかるが、人懐っこく多頭飼いにも向きやすい。 | |
| ノルウェージャンフォレストキャット | 自立心と甘えん坊さのバランスが良く、穏やかで落ち着いた性格。運動量はラグドールよりやや多め。 | ダブルコートで被毛の手入れは必須だが、屋内環境に慣れやすく、家族とも馴染みやすい。 |
ママちゃん、あのふわふわで大きいラグドールさんって、抱っこされても全然嫌がらないってほんと？ ぼくは抱っこはちょっとならいいけど、長時間は俺様な性格的にNGなんだけど…。
本当だよ。ラグドールさんは、抱っこされると力を抜いて「どうぞお好きに〜」って身を任せちゃう子が多いの。性格もすごく穏やかで、撫でられたり一緒にゴロゴロしたりするのが大好きなタイプなんだ。
あの子たち、すごく大きく見えるけど、走ったりジャンプしたりはちゃんとできるの？ ぼくは全力ダッシュ派だから、一緒に運動会できるか気になるんだよね。
走ったりジャンプしたりもできるけど、ラグドールさんはどちらかというと“のんびり派”かな。ゆったり動くことが多いから、しょうちゃんみたいな俊敏タイプとはペースが違うかも。そのぶん、一緒に遊ぶときはしょうちゃんが運動担当、ラグドールさんはまったり担当って感じでバランスが取れると思うよ。
ラグドールさんって、鳴き声はどうなの？ ぼくはたまに大きめボイス出しちゃうけど、あの子たちは家じゅうに響くタイプ？
意外とすごく静かだよ。見た目はもふもふ大きいのに、声は「ピッ」とか「クルル…」って小さくて、控えめに話しかけてくる子が多いの。マンションでも飼いやすいって言われるくらい、鳴き声はお上品なんだ。
毛がふわふわで長いけど、お手入れはどのくらい大変？ ぼく、ブラシはあんまり好きじゃないから、そのへんだけちょっと心配だな…。
ラグドールさんは毛質がシルクみたいで、他の長毛種よりは毛玉になりにくいって言われることもあるけど、それでも定期的なブラッシングは必要だね。特に脇の下やお腹は絡まりやすいから、優しくほぐしてあげたいところ。しょうちゃんは“見守り隊長”から始めて、少しずつブラシに慣れていけるといいな。
もしラグドールさんをお迎えするなら、ママちゃんはどこを一番チェックする？ それと、ちゃんとぼくのこともかまってくれるかな…。
まずは親猫の健康検査だね。ラグドールさんは心臓や腎臓の遺伝性の病気に気をつけたい猫種だから、心エコーや遺伝子検査をしているブリーダーさんかどうかをしっかり確認したいな。それから、他の猫と穏やかに過ごせる性格かどうかも大事。しょうちゃんはフレンドリーでさみしがり屋だから、やさしくておっとりしたラグドールさんなら、一緒にソファでぎゅうぎゅうに並んで主役の座をシェアしてくれると思うよ。
ラグドールは、大きくてゴージャスな見た目とは裏腹に、とても穏やかで抱っこ好きな“ぬいぐるみ系”の猫さん。毎日のブラッシングや体重管理、心臓や腎臓の健康チェックなど、気をつけるポイントは多いけれど、そのぶん一緒に過ごす時間が自然と長くなって、家族との絆がとても深くなる猫種だと思うよ。しょうちゃんみたいなフレンドリーな先住猫とも、お互いのペースを大事にしながら、のんびり寄り添って暮らしてくれる、心強い相棒になってくれるはずだね。
